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イーサン・ケイニン『宮殿泥棒』
アメリカの作家イーサン・ケイニンの中篇集。「会計士」「バートルシャーグとセレレム」「傷心の街」「宮殿泥棒」の4作が収録されています。
会計士や妻に捨てられた中年男性、歴史教師などを主人公とした作品で、謹厳実直な彼らが世間と向き合う中でのとまどいが見事に描かれています。彼らと対比する形で登場するスマートな息子や幼なじみの実業家などが非常に効果的で、彼らに対する主人公のかすかな憧れと、実際にはそう慣れない自分への苛立ちや諦めが読者にとって一番共感の持てる部分かもしれません。
訳者のあとがきの中で、「優等生」の文学における扱いが述べられていますが、魅力的な悪ガキでなく、平凡な優等生を主人公に設定し、主人公のキャラクターに頼らずに人生を描き出す作者の力というのは素晴らしいですし、多くの人に読んでもらいたい作品だと思います。
