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ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』

停電の夜に
停電の夜に
posted with amazlet on 06.09.12
ジュンパ・ラヒリ(著) 小川高義(訳)
新潮社 (2003/02)

著者は米国育ちのインド系女性作家。2000年にはピュリツァー賞文学賞を受賞。本作品では表題作を含む9作の短編が収録されています。

驚くほど深く味わいのある世界観を持った作家です。この作品に収録されている短編では、著者のバックグラウンドを活かす形で、インドにまつわる登場人物・エピソードが効果的に使われています。その一方で、全9編の物語の展開に似通った部分がなく、登場人物の多彩さが際立っており、全編マンネリ感もなく読み終えることが出来ました。

本作の登場人物の中でも特に印象的なのが子供です。「ピルサダさんが食事に来たころ」は、バングラデシュ独立という子供には縁遠い出来事を、ピルサダさんという人物を通して眺める少女の視座や意識の変化が中心に置かれた作品です。その一方で、「セクシー」の中のロヒン少年のように、大人をドキッとさせる言葉を口にする子供を登場させた作品もあり、主と客の立場で子供を効果的に使い分ける手法は作品に奥行きを与える効果的な方法だと思います。これまで読んできた短編の中でも10本の指に入るのは間違いなく、こういう作品に巡り会えたのは非常に幸運でした。

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