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ボブ・ウッドワード『グリーンスパン』
著者はワシントン・ポスト紙の編集局次長で、ウォーターゲート事件にも関わり、米国政権中枢を描いた数々の著者で有名なジャーナリストです。
本書では、アラン・グリーンスパン前FRB(連邦準備制度理事会)議長が、1987年に共和党のジョージ・H・W・ブッシュ第41代大統領に指名されて議長就任してから、2000年に民主党のビル・クリントン第42代大統領に再指名されるまでのFRBの内実が描かれています。その間、ブラックマンデーやアジア通貨危機、LTCMの破綻という危機に直面しながらも、米国経済の繁栄を成し遂げたことで、グリーンスパン議長は「マエストロ」という評価を受けることになります。
グリーンスパン議長の就任により米国経済におけるFRBの位置づけが劇的に変化します。共和党の指名を受けて就任しながらもFRBの独立性を守った姿勢、ルービン財務長官を筆頭にクリントン政権下での蜜月とも言える政府と中央銀行の関係性、市場に対する巧みなメッセージの伝達方法などによりFRBの神話が築かれていきます。また、従来の経済理論に囚われない経済に対する探求心と、ワシントンの政治をかいくぐる巧みな政治力などグリーンスパン議長個人の“強さ”も浮き彫りになっています。日本においても政府と中央銀行の関係はしばしば話題になりますが、日本銀行がどのような姿であるべきか考察する上で参考になる、非常に優れた作品だと思います。
