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佐藤優『自壊する帝国』

自壊する帝国
自壊する帝国
posted with amazlet on 06.10.14
佐藤優
新潮社

著者は外務省専門職員の外交官としてロシア連邦日本大使館に勤務。2002年に背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、現在控訴中です。

本書は著者が、1988年から1995年までロシア日本大使館に勤務した際に直面したソビエト連邦の崩壊という出来事を、外交官としての情報(インテリジェンス)収集で得た政治家や関係者の証言などを交えながら描いています。建前と本音を使い分ける二重基準を持つソ連の構造の中で、ウオトカを飲みながら相手の裏面を見極めようとするソ連の人々との交友関係を巧みに広げていく著者の人脈構築術もなかなか興味深いところです。

著者の凄みというのは、一本筋を通し続けたことでしょう。酒でも議論でも一歩も引かず向かい合い、交友関係を持っていた相手が一時的に政治的な苦境に陥った場合でも、そこで手のひら返しをするのではなく、信義を重要視する日本の外交官という自分の立場を意識し続けているようです。外交と言うと、首脳レベルでのニュースくらいしか私たちの目に入ってくるものはありませんが、現場で日本の国益のために苦闘する外交官の緊迫感と息づかいが伝わってくる素晴らしい作品だと思います。

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