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桐野夏生『OUT』
1998年版「このミステリーがすごい!」で国内部門1位となり、米国エドガー賞にノミネートされたことでも有名になった作品です。
夜勤の弁当工場で働く4人の主婦の中の1人が家庭内暴力に耐えかねて夫を絞殺したことに端を発したサスペンス小説です。それぞれの胸の中にいろいろな思惑を持ちながら、バラバラ殺人事件に荷担する主婦達、事件の容疑をかけられ真犯人の復讐を狙うカジノのオーナーなどを中心に物語が展開していきます。
死体解体の過程や警察の捜査過程の杜撰さが現実離れしており、少々都合良すぎるのではないかと感じる点と、前半で登場してきた人物達が特に意味もなく後半にフェードアウトしていき、物語の世界観が急速に狭まってしまう点など小説としての完成度には疑問を感じますが、登場する中年女性達の置かれている生活の荒み具合と疲労感の描写には非常に強い印象を受けました。解説に格差社会をいち早く取り込んだ作品という評価が書かれていますが、ワーキングプアと呼ばれる生活が現実感を持って描かれている点は、サスペンス小説としての評価の高い本書の意外な良さと言えます。
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