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ロジャー・ローウェンスタイン『天才たちの誤算—ドキュメントLTCM破綻』

天才たちの誤算—ドキュメントLTCM破綻
ロジャー・ローウェンスタイン(著) 東江一紀(訳) 瑞穂のりこ(訳)
日本経済新聞社

ヘッジファンドLTCM破綻の内幕を描いたドキュメンタリー。本書は『最強ヘッジファンドLTCMの興亡』という名前で文庫本化もされています。

ソロモン・ブラザーズで多額の利益を稼ぎ出したジョン・メリウェザー(JM)とそのチーム、そしてLTCM参加後にノーベル経済学賞を受賞する学会の権威マイロン・ショールズとロバート・マートンの2人の教授。LTCMのドリーム・チームが如何にして成功し、そしてなぜ破滅していったかを、LTCM内部の人々や同社を取り巻く金融業界のトップなどの心理的な変化を丁寧に描きながら、物語が進められていきます。

本書のタイトルが「天才たちの誤算」となっていますが、本書で描かれたLTCMの失敗の背景には「過信」というのがあると思います。モデルを過度に信頼し、自分には不都合な事実に十分な注意が向けず、高レバレッジでの投資を続け、状況が悪化しているにも関わらず「スプレッドが開きすぎている!」と叫び続け、破滅に向かうLTCMのパートナーの世間知らずぶりは滑稽さも感じられます。とはいえ、JMは現在でも新しいヘッジファンドを立ち上げ、修正を加えたモデルで市場に挑み続けており、これからも続く人間の市場への挑戦の記録として非常に興味深い作品です。ちなみに、金融工学の用語が数多く出てきますが、私のように知識が十分でない人でも読みづらいということはありませんでした。

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