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ダン・ブラウン『天使と悪魔』
『ダヴィンチ・コード』の主人公ロバート・ラングトン教授シリーズの第一作目です(文庫本3冊)。
今作の舞台はカトリックの総本山・ヴァチカン市国です。スイスの欧州原子核研究機構(CERN)で一人の科学者が殺害され、彼の開発した核兵器の数倍の爆発力を持つ反物質が盗まれます。その科学者の死体には、滅びたはずの秘密結社“イルミナティ”のアンビグラムが刻まれていました。時にヴァチカンではローマ教皇の急逝でコンクラーベが開催されようとしました。イルミナティの一員により、ローマ協会は危機に瀕します。
この作者の作品の持つスピード感というのは流石というところがあります。話の展開は『ダヴィンチ・コード』と似通っていますが、教皇候補の救出劇と真犯人が明らかになる終盤の展開は『ダヴィンチ・コード』のそれよりも多彩でこちらの方が個人的には好みの作品でした。本書は、科学の理論(CERNとイルミナティが代表)と信仰の奇跡(ローマ教会が代表)の対立という形を取ります。結末だけ見ればヴァチカンが激怒するのも無理はないですが、私は3巻の冒頭でBBCを通じて語りかけるカメルレンゴ(ローマ教皇代理)の科学への敗北宣言にはとても心を動かされました。ローマ教会にとっては望む形ではないのかもしれませんが、宗教の偉大さと存在意義を改めて感じさせてくれる作品でした。
