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チャールズ・シュワッブ『チャールズ・シュワッブが教える 定年後資産倍増術』
徳間書店 (2003/07/20)
著者は米最大手オンライン証券チャールズ・シュワッブの創業者です。この本の原題は「You're fifty-now what?(君は今、50歳だ。さぁ、どうする?)」で、本書の題名も「定年後」と付いていますが、なかなかどうして20~30代でも十分に参考になる作品です。
本書の問いかけかは「みなさんは十分な資金を持っていますか」で始まります。洋の東西を問わず定年を迎える人々が抱く不安は、「いったいいくらあれば十分なのか」ということだと思います。公的年金は今までのようには当てには出来ない。定年後の生活では、仕事関係の税金・経費と無縁になる一方、医療費や住居の修繕費など他の経費もかかってくる。将来の試算をしてみると、もう少しお金のことを真剣に考えてみないといけないということが分かってきます。本書では、資金計画を組む際のポイントとして、以下の6つの戦略を提唱しています。
- 自分を投資家だと考えること
- お金を増やすための投資をする
- 積極的な資産配分モデルで始めよう
- 株式投資に「コア&エクスプローラー」の考え方を利用する
- 5年ごとにポートフォリオを組み直すこと
- 所得戦略と支出戦略を早めに工夫すること
この6つの戦略では、定年を迎えたからと言って投資活動を中止や極度に縮小させるのではなく、これから待ち受けるインフレリスクや長生きリスクを考慮し、期待リターンの高い株式を中心に十分に分散されたポートフォリオを構築すること。支出シナリオを正しく計画して支出をコントロールする一方、5年を目処に徐々にリスクのある運用商品を減らしていくこと。そして、資産運用を第三者に任せている場合でも、情報を得る努力を行い、決して傍観者にはならないこと、が推奨されています。
本書では上記の戦略を遂行するために必要となってくる、支出内容の棚卸方法、国債や投資信託などの投資商品や確定拠出型年金などの概略説明、ポートフォリオのリバランシングなどが解説されています。また、お金の使い方という意味では避けて通れない、保険や相続、寄付・社会貢献についても1章ずつ割かれています。テーマが広いので全ての話題に深く突っ込むことはないのですが、重要な箇所は厚めに説明をしており、比較的メリハリの効いた構成になっていると思います。
シュワッブ氏が書いている内容の一部は米国に特有の制度の場合がありますが、そういった箇所については訳者の中岡氏が「日本の場合は―」と併記の形で補足していたり、図表を差し替えたりしているため、若干の読みづらさは感じますが、十分に意味は通じる内容になっています。証券会社の創業者の作品なので利益誘導的なところがあるのかと思っていましたが、全体を通じて非常にまっとうな内容でした。利益誘導よりもこうして積み上げていく信頼の方が大事ということでしょうか。
