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ハーヴィー・ダイアモンド、マリリン・ダイアモンド『フィット・フォー・ライフ—健康長寿には「不滅の原則」があった!』
—健康長寿には「不滅の原則」があった!
グスコー出版 (2006/04/08)
「ナチュラル・ハイジーン(自然健康法)」という考え方に基づく食習慣について書かれた作品です。政府機関などにより指導されている“バランスの良い食生活”とは一線を画した、太古から続く“自然本来の食生活”に改めることで人間が本来持っている健康になる力を引き出すことを主眼においています。
この本の主張は従来の常識から見れば非常に過激ですが、内容は非常に明確です。現代社会では食生活の乱れに起因する多くの症状・疾病が発生している。しかし、野生の動物など見てみると、肥満で動けないライオンなんて見たことがない。それは、古代の人間も同様である。現代社会の食生活というのは長くても数百年の歴史しかないが、それまで数百万年かけて続けてきて、体も最適化してきた“自然本来の食生活”というのに学ぶことはたくさんある。これが本書で述べられている「ナチュラル・ハイジーン」の思想です。
では、その自然本来の食生活というのは何かというと、果実と野菜をメインにした食生活です。本書では、人間に必要な栄養素はすべて果実と野菜から取得出来ると言います。こうなるとタンパク質が足りないのではないかという疑問も出てくると思いますが、現代社会でタンパク質過剰による癌などのリスクはあっても、タンパク質欠乏の恐れはほとんどなく、果実などに含まれている豊富な必須アミノ酸で十分賄えると言います。また、タンパク質の宝庫と思われている肉食動物は、草食動物からそれらの栄養素を得ており、その草食動物は当然草から栄養を得ているわけです。つまり、すべての生物は草から栄養を得ているのが、野菜や果実メインで大丈夫な理由であると言います。
また、面白いのが一日の食事のタイムスケジュールと消化の仕組みの解説です。人間には24時間周期のリズムがあり、正午から午後8時は補給の時間で主に摂取と消化、午後8時から午前4時は同化の時間で主に吸収、午前4時から正午までは排泄の時間で、それぞれの機能が最も活発になる時間ということです。これを尊重すると、朝は果実を中心とした軽めの食事で排泄に集中し、昼から一日の栄養を取り、同化の時間までに消化が終わるように午後8時までに食事を終える、ということが考えられるようです。消化のメカニズムに関しては、胃が一度に消化出来るのは一種類の食品だけであり、タンパク質と炭水化物のように胃を通る時間に差がある食品が一度に胃に流れ込むと、より消化に時間のかかるタンパク質が充分に消化されず腐敗してしまう。それは腸内環境を悪化させることになるため、一緒に食べてはいけないと書かれています。つまり、肉魚料理とご飯などは駄目で、丼ものなんて最悪の組み合わせということのようです。
食の選択肢が限られている野生の動物や古代の人間が「最適な食生活」の模範となるか、というのは疑問ですし、そもそも野生では弱い者はすぐに淘汰されるので、結果的に“生き残った”動物だけ見られない形になり、それが最適に見えるというのもあるので、この本で主張されている食生活スタイルの説得力はあまり感じませんでした。全体的に説得材料が単純化され過ぎて、読んでいる間中ずっと突っ込みを入れたくなる内容なのが良くない点だと思います。ただ、消化には大量のエネルギー使われており、活動時間帯に消化に悪い内容や組み合わせの食事をするのは良くないというのは面白い考えだと思いました。この本で書かれている内容の大部分は、「ナチュラルハイジーンのススメ〜お金をかけない健康法〜」にきれいにまとめられているので、本を読む前にこちらに目を通してみるのもいいと思います。
