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Amazonのビジススモデル特許「1クリック」が無効に

Amazonの1クリック特許が再審査の結果、無効に - ITmedia News
米Amazonが所有していた「1クリック」特許を、米特許商標庁(USPTO)が再調査の結果、10月9日に拒絶したことが明らかになった。ニュージーランド出身の俳優、ピーター・カルバリー氏が自身のブログに記している。

ビジネスモデル特許(Business Method Patent)の代表格であるAmazonの「1クリック」特許が無効になったというニュースです。ビジネスモデル特許については、1998年にストートストリート銀行の「ハブ&スポーク特許」が認められたことを契機に、従来型の発明品だけでなく純粋なビジネスモデル(手法)でも特許として認められるという認識が広がり、Priceline.comの「逆オークション」や今回無効になったAmazonの「1クリック」のようなIT関係のビジネスモデル特許が一躍話題になりました。この頃はちょうどドットコムバブル期であり、新興IT企業が今後どのように競合他社と差別化をして儲けを生み出すかということに注目が集まっていた時期だと記憶しています。当時、ユーザは一度使うサイトを決めたなら、なかなか他のサイトには乗り換えないだろうと考えられており、効果的なキーワードを含むドメインを確保したり、アクセスの多いポータルサイトにバナー広告を掲載してインプレッションを高め、新規ユーザを取り込むというのもその一つです。

そのようなセリング的な要素の一方で、ウェブサイトそのものを見た場合、技術的な部分自体で競合と差別化するのは難しいという議論もありました。商品説明のページがあって、その商品をクリックすれば商品がカートに入り、後でまとめて購入手続きをして、というのを真似すること自体はそれほど難しくはありません。ここで挙げた「ショッピングカート」のように折角考えた便利な仕組みが、すぐに競合他社に真似されて利益の源にならないのであれば、継続的なイノベーションは難しいという主張もありました。ビジネスモデル特許自体はITに限った話ではないのですが、ITによる社会の発展とそれを促す特許制度という意味で、時期的に注目を集めたのがビジネスモデル特許だったと思います。ただ、ビジネスモデル特許として認められる条件が当時は未整備で言葉だけが先歩きして、特許としての要件を満たさないよう内容の申請が相次ぎ、この時期に申請されたものの大半が結局は認められなかったというのが実情のようです。

また、このような仕組みが特許として成立すると、ウェブ全体で見た時の利便性が低下するという批判もありました。消費者によるボイコット活動などを受け、Amazonは本の販売で競合する老舗のBarnes & Nobleのような例を除き、「1クリック」を使っているからと言ってただちに特許侵害で訴えることはないと主張したこともありました。この記事からは詳細は分からないのですが、そのような賛否両論(否が圧倒的だった思いますが)を経たビジネスモデル特許の中でも、最も代表的なものだった「1クリック」特許が今回無効になったという意味でかなり大きな意味を持つニュースだと思います。ただ、これが特許として認められないからと言ってAmazonは競合との差別化能力を失ってしまったかと言うとそれはまた別の話になると思います。

「1クリック特許」が成立した時とは、差別化要因に対する認識が明らかに違っているのがその理由のです。例えば、Amazonはウェブの進化に対して最も優れた適応能力を見せ、競争力の強さを示してきた企業の一つだと思いますが、それはサイトの使いやすさだけではなく、ロングテールの象徴としても例に出されるほど豊富な書籍のストックであったり、強力なアフィリエイトネットワーク、巧みなSEO(サーチエンジン最適化)、一早いAPIの開放など諸々の要因が重なった結果だと思います。サイトを差別化する要因は多様にあり、その一つが使えなくなったからと言って、その企業が“その他大勢”に落ちるわけではないのは明らかです。もちろん、革新的なアイデアによる差別化の可能性を否定すべきではありませんし、発明者保護のための特許自体は必要だとは思いますが、ビジネスモデル自体はウェブサイト差別化の一要素に過ぎず、それを特許として保護することが社会全体の発展につながるものなのか、2000年後前後よりも厳しい目に晒されるものになったのかなとは思います。

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