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『チーム・バチスタの栄光』
第4回『このミステリーがすごい!』大賞作品。著者は現役の医師で、本書がデビュー作品。
題名にある“バチスタ”とは「左心室縮小形成術」のことで、肥大化した心臓の一部を切除する心臓外科手術のことを意味します。舞台となる東城大学医学部では、米国帰りの桐生恭一医師が率いる7人のドリームチーム“チーム・バチスタ”が、平均術死率40%と言われる難手術に26回連続成功・失敗なしという輝かしい実績を上げており、その栄光はマスコミの大きな注目を浴びていました。
そんなある日、不定愁訴外来の田口公平医師が高階権太病院長に呼び出され、チームバチスタの内部調査を依頼されます。“ミスターパーフェクト”率いるチーム・バチスタで発生した3件連続の手術失敗、その調査に放り込まれたのは院内の出世争いには背を向けて自分の根城で悠々と仕事をしていた田口医師。田口医師が見つめる中、再び手術が失敗します。チーム・バチスタに何が起こったのか。
評判が非常に良かったので購入してみましたが、読み始めたら止まらなくなりました。間違いなく秀作です。この作品には2人の主人公が存在します。1人目が上述の田口公平医師。第1部は彼によるチーム・バチスタのメンバーへの聞き取り調査がメインになります。メンバーたちが語る言葉からチーム内のひずみが徐々に露になり、手術が失敗するシーンで謎の部分が最高潮に達します。ここに至るスピード感も素晴らしいのですが、この作品は第2部でギアチェンジをして、謎解きの部分に突入していきます。
この第2部の主人公が厚生労働省技官の白鳥圭輔です。傍若無人な態度で周りを振り回しながらも、綿密な調査と相手の懐をえぐる聞き取り調査により、チーム・バチスタのメンバーが抱える問題点に切り込みます。評者の方々は奥田英朗の精神科医伊良部シリーズの伊良部一郎医師を想起させると書いていますが、私も読みながら同じことを思いました。伊良部医師は憎めないキャラクターですが、こちらは少々憎々しさがあります。
第1部と第2部で主人公を変え、同じように聞き取り調査をしているにも関わらず、まったく違う情景を見せるのには恐れ入りましたという感じです。展開に比べると結末部分の迫力が欠ける印象は若干ありますが、ミステリーの醍醐味とも言えるドキドキ感をこれほど与えてくれる作品は滅多にないと思います。この作品の田口&白鳥コンビはシリーズ化されて、すでに第3弾まで出版されています。
