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2009年5月に読んだ本

  1. ダン・アリエリー 『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』 早川書房 2008年
  2. 経済学における経済人の概念が必ずしも実態とあっていないことを、実際の実験結果と合わせて紹介した行動経済学の本。読みながら「あるある」と反応することしきり。もちろん、経済人の概念は経済学の仮定の一つに過ぎないし、仮定を置く事で複雑な現実を単純化し、経済政策の影響をシミュレーションするのが経済学の意義である以上、経済人なんていない=経済学なんて意味がない、とはならない。この本が好きな人は、パコ・アンダーヒルの顧客行動分析の本も好きになるかもしれない。
  3. 支倉凍砂 『狼と香辛料〈11〉Side Colors2』 アスキーメディアワークス 2009年
  4. 短編集第2弾。ロレンスとホロの会話を楽しませてくれる短編2つと、商人なりたての頃のエーブ(フルール)を描いた中編。短編2つはいつも以上ににやにや仕様だし、中編は貴族としての感覚が抜けきれないフルールが、本物の商人になるきっかけとなる取引における登場人物たちの会話が、フルールという初心者の目線で描かれていて興味深い。エーブ登場シーンをもう一度読み返したくなる。
  5. 立川談春 『赤めだか』 扶桑社 2008年
  6. 落語家・立川談春が立川談志に入門し、前座から二つ目、真打ちに昇進するまでのエピソード。師匠と弟子とのやり取りの中に満ちた師弟愛に感動。「よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ」や「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱味を口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです」などといった家元の発言にも含蓄があるが、師匠の意図を汲み取る著者にも師弟関係のあり方というものを感じさせてくれる。
  7. 西尾維新 『化物語(下)』 講談社 2006年
  8. 下巻。物語の構造に大きな仕掛けはなく、登場人物の掛け合いを楽しめるか否かというところなのは変わらない。ただ、メタ的な視点で読むか読まないかで見え方がかなり違う。そのままの視点で読むと意味のないくだらない作品にしか見えないが、メタ的に見るとその馬鹿馬鹿しさが逆に面白くなってくる。上巻から下巻の残り1/3まで普通に読んでしまったので、読むのが苦痛だったけど、読み方を間違えなければこれはこれで面白いかもしれない。
  9. 佐藤優 『獄中記』 岩波書店 2006年
  10. 外交官・佐藤優氏が背任容疑で逮捕され、東京拘置所に勾留された512日間の記録。本人が出所後も仕事場をこの独房のように改造したくらい、勉強と思索の場としてはふさわしい場であったようで、この1年半の間に佐藤氏が何を考え、どのような学習をしていたかがよく分かる。例えば、読書一つをとっても、1回目はメモは取らずに鉛筆で軽くチェックして読み、2回目は抜粋を作り、読書ノートにし、3回目は理解不十分な箇所を再チェックしてるとのこと。期間中の一日一日の心情も含めて非常に興味深い。
  11. 伊坂幸太郎 『グラスホッパー』 角川書店 2007年
  12. 交通事故にみせかけて人を殺す「押し屋」を巡る三者の追跡劇。読んでいてイライラさせる主人公の一人・鈴木の決断力の乏しさも、一般人的なリアリティーを持ち込んでいるという観点からは理解出来る。ただ、「実はスズメバチだった」というところは、事前の描写が不足している印象があり、予想外というよりはご都合主義の感があった。前半から中盤にかけての疾走感に欠けており、あまり面白いとは思えなかった。

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